EC Pack for TypePad 紹介インタビュー 前編|システム開発企業に聞く
EC Pack for TypePad は、TypePad ビジネス で EC サイトを構築できるサービスです。「注文管理」や「決済処理」など、EC 開業に必要な機能がすべてパッケージになっているため、手軽にスピーディに「ブログ EC」が開設できることを特徴としています。
そこで今回は、開発にあたった株式会社ベイリーフの森雅人さんにサービスの概要を聞き、インタビュー記事として TBB 読者の皆さんにお伝えします。
- CARRITO + TypePad ビジネス = EC Pack for TypePad
- ASP/SaaSならではの特性
- EC 用テンプレート
- 顧客管理機能をはずしたシンプルな EC システム
- デザイン自由度の高さをブログサービスで確保
CARRITO + TypePad ビジネス = EC Pack for TypePad
EC Pack for TypePad は、2009年10月20日に販売を開始した EC サイト構築サービスだ。
商品を紹介するためのサイト構築には通常の『TypePad ビジネス』を使い、そこに弊社で開発した『CARRITO(カリット)』というショッピングカートシステムを連携させて EC サイトを立ち上げます。
ベイリーフが開発した CARRITO と、シックス・アパートが提供している TypePad ビジネス、両者を組み合わせた EC 開設のためのサービス・ソリューションが『EC Pack for TypePad』というわけだ。
もともと CARRITO は、弊社から単体の EC サービスとしてリリースしていたのですが、多くの商談案件に共通して、将来的にサイト運用上の不具合が発生してしまうのではないかという懸念が指摘されることがよくありました。
具体的にはどんな懸念だったのだろう。
たとえばサーバーインストール型 CMS(コンテンツ管理システム)の場合、ウェブサイトの置かれるサーバ環境がそれぞれ異なりますし、もしも非力なサーバで運営されたりしていると、アクセス数が急激に増えた場合のトラフィック増などに対処できず、EC サイトとしての信頼を損なってしまう可能性がある、などの懸念です。
そこで、すでに多数のメガサイトへ導入実績があり、ASP/SaaS タイプの法人向けブログサービスとして定評のある TypePad ビジネス と CARRITO を連携させ、ひとつのパッケージとして提供することで EC サイト全体の運用安定性を確保させることを目指しました。
[ EC Pack for TypePad システム構成 ]
ASP/SaaSならではの特性
TypePad ビジネス も CARRITO も ASP/SaaS タイプのサービス、すなわち「クラウドコンピューティング」の形で提供されており、普段ユーザーはサーバ環境やシステム構成などを意識する必要がない。
仮にサーバーインストールの型 CMS や EC ツールを利用する場合であれば、別途コストをかけてサーバを用意する必要があり、開設後のアクセス規模を考慮してハードウェアやネットワーク環境を構築しておかなければならない。
さらにソフトウェアも含めたシステムのアップグレードをユーザー自身で行わなければならないが、ASP/SaaS タイプのサービスであればそれらはすべてサービス提供者がおこない、システムを常時監視し、運用・管理してくれる。
そのためハードウェアセットアップの工数が発生せずサイトオープンまでの時間が短縮でき、オープン後のメンテナンスコストや手間についても大幅に削減できる。
EC Pack for TypePad ならお申し込みから約1週間でサイトオープンが可能です。
ただし、クレジットカード決済をご利用いただく場合については、決済業者による審査に1~2ヶ月かかる場合がありますので、それまでは CARRITO が標準で提供している決済方法(銀行決済など)で運用いただくこととなります。
EC 用テンプレート
そして EC Pack for TypePad にはあらかじめ、すぐに TypePad ビジネスで EC サイトを開業するためのテンプレートが付属している。
トップページには新着商品などが並び、個々の製品ごとに個別ページを設けています。商品はカテゴリー分けを行うこともできます。
とはいえ、標準テンプレートのデザインはさらにカスタマイズしてもらうことが前提だという。
基本的な構成のものを用意しているだけなので、実際にはお客様に自由にテンプレートをカスタマイズしていただき、お店にあった雰囲気のデザインにしていっていただければと思います。
また、商取引法記載ページやお問い合わせフォームなど、EC サイト開設に欠かせないページは、自社の情報を登録すると CARRITO 側で自動的に作成される。それらを別途用意しなくてもよいのも便利なところだ。
[ 標準提供されるテンプレートにカートボタンが搭載されている様子 ]
顧客管理機能をはずしたシンプルな EC システム
注文管理と在庫管理は CARRITO の専用管理画面を利用しておこなう。まずは CARRITO で商品を登録したうえで、EC サイトへ反映していく。
商品の名称や価格などを CARRITO で入力すると、データベースに登録されると同時に商品個別の専用タグが作成されます。
そのタグをコピーし、TypePad の管理画面で商品紹介ページにペーストすれば『ショッピングカートボタン』と『商品価格』が表示されます。
ユニークなのは、ECサイトにつきものの顧客情報管理が発生しないことだ。
顧客の個人情報は CARRITO の中で管理し、各ショップ側には買い物をした人の情報だけが伝えられます。入金が確認され、商品の発送が終わったら、3ヶ月でその情報は消去されるので、ショップが顧客の個人情報管理をおこなうことはありません。
ECサイトを運営するうえでの1つの利点は、メールマガジンを送るなど顧客と直にコミュニケーションをおこなったり、顧客情報からマーケティング分析を行えることだとされていたが、CARRITO からはあえて顧客管理機能を外したという。
リアルの店舗であれば、買い物をしたらそこでおしまいというのが普通ですよね。オンラインでも、もっとリアルの店舗での購入体験に近づけていいんじゃないか、というのが弊社の持論で、それが CARRITO の設計思想にも反映されています。
また、最近の顧客は管理されたり余計なコミュニケーションに手間を取られることに敏感だと感じているからでもあります。
会員登録の際に顧客が入力する情報も最低限に留めており、顧客のログインはすべて OpenID でおこなわれる。
購入する際の会員登録には、OpenID を利用しています。具体的には mixi OpenID、Yahoo! Japan ID、Google アカウントの3種類に対応しています。
ショップ運営者側からすれば顧客管理の手間がはぶけ、購入者側からすれば個人情報の提供を最低限に留めることができる。もし、メールマガジンなどを発行しようと思ったら、別途サイト上に申し込み用のリンクをつければいいというわけだ。
[ CARRITO 商品管理画面 ]
デザイン自由度の高さをブログサービスで確保
TypePad ビジネスなら簡単にページ編集ができるので、運営者の考え方に応じて自由なサイト運営や設計が可能なところも利点だ。
たいていの EC サイト構築ツールの場合、デザインをコントロールする『CMS』とショッピング機能をつかさどる『EC』が融合したかたちで提供されているものが多いのですが、時代の変化や流行、季節感にあわせて適宜サイトのデザイン、プレゼンテーション部分を柔軟にリニューアルしていきたいというニーズの高まりを感じ、EC Pack for TypePad ではあえて切り分けたという経緯があります。
両者のシステムが分かれているのに、自然な購買遷移が提供できているのはなぜだろう。
CARRITO が提供するショッピングカートのユーザーインターフェイスは、AJAX を使って半透明な状態で購入画面をレイヤー的に表示させるため、どんなデザインの商品紹介ページとも違和感なくなじみ合わせることができます。
EC Pack for TypePad であれば、『CMS』と『EC』が切り離されている利点をいかし、商品紹介ページを自在にデザインすることができ、まさに自社のテイストにあったオリジナルな EC サイトを立ち上げられるというわけだ。
[ レイヤー表示されたショッピングカートの様子 ]
後編 につづく
製品概要
※ ご好評につき終了いたしました ※
■追記 - 2010/01/27 11:50:
ProNet パートナー会員向けにクローズドな EC Pack for TypePad 製品紹介セミナーを開催します、パートナーの方で本製品にご興味あるかたはぜひご来場ください。
■概要:
日程:2010年2月8日(月)
時間:14:00~16:30(受付開始13:30)
会場:トスラブ山王(東京都港区赤坂2-5-6)
参加:無料(事前のお申し込みが必要)
※「1社あたり3名様まで」でお願いします。
定員:90名
資格:シックス・アパートのパートナーさまであるProNet、もしくはProNet SOHOであること
■詳細:
http://www.sixapart.jp/pronet/members/archives/2010/01/12-1431.html
※ ProNet 会員専用サイト専用 アカウント & パスワード 必須
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