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2009年12月22日 (火)

TypePadによる商用サイト構築の可能性(前編)〜 アライアンス・ポート 大和氏・山辺氏に聞く

今回の TBB では、ウェブ制作会社によるクライアントへ向けたブログサービス提案と採用にいたるまでのポイント、そしてサイト構築作業時におけるデザイン・カスタマイズ性能にスポットライトをあてた企画として、「TypePad による商用サイト構築の可能性」というテーマで合同会社アライアンス・ポートへのインタビューをおこないましたので、その様子をご覧いただきます。

  • 合同会社アライアンス・ポートとは
  • ブログサービスが適したケース
  • 最新導入事例と採用までの経緯
  • 事前に注意すべき仕様上の制限
  • 完成例

合同会社アライアンス・ポートとは

ProNet 会員であり Six Apart ソリューションパートナーでもある 合同会社アライアンス・ポート(以下「アライアンス・ポート」)は、Movable Type はもちろん、TypePad を使った案件も多数手がける、デザイン・ウェブ制作会社だ。

そこで数多くのサイト構築を経験してきたプロのウェブデザイナーから見たときの、企業向けブログサービス "TypePad" を使ったサイト設計時のポイントや、サイト成功の秘訣について、同社 CEO、テクニカルディレクターの大和比呂志さん(写真・左)と、CTO、COO、クリエイティブディレクターの山辺真幸さん(写真・右)にお話をうかがった。

大和さんと山辺さん

ブログサービスが適したケース

そもそも Movable Type ではなく TypePad を使ったサイト構築の提案をおこなうのはどのような場合なのか、顧客に対する最初のヒアリングを担当することが多いという山辺さんにうかがった。

TypePad を使ったサイト構築をご提案するお客様の属性は主に2つあります。一つはリニューアルではなく新規にサイトを作るお客様、もう一つは個人や SOHO のお客様です。TypePad はブログサービスとしてのイメージが強いのですが、実は ASP 型の CMS(コンテンツ管理システム)としても十分な機能を備えています。新たに自社サーバやドメインを用意する必要がなく、アカウントさえ用意すればワンストップですぐに運用を開始することができるため、時間もコストも大幅に削減することができます。そのぶんサイトのコンセプト作りやデザインワークに力を注ぐことができるということです。(山辺さん)

確かになにも特別な知識を必要とせず、アカウントを取得するだけで、すぐにサイトをオープンできる小回りのよさは TypePad の大きなメリットの一つだ。

弊社の場合、単にブログだけを作りたいというのではなく、イベントの告知や過去の事例(作品)紹介など、自分のオフィシャルな情報を集約するスペースを持ちたいと考えているお客様が多いです。もちろん多種多様な商品ラインナップに加え、ニュースやブログも頻繁に出すといった複雑なものになってくると、Movable Type の方を薦めますが、特に個人や SOHO のお客様の場合、とりあえずアカウントを作ってしまえば、その日にでもオフィシャルなスペースが持てる TypePad をお薦めしています。(山辺さん)

最新導入事例と採用までの経緯

こういった使い方の好例が、最近オープンした写真家松本英明さんの個人プロモーションサイトだ。

松本様はサイトを立ち上げる前は、fotologue (*1) を使って自分のポートフォリオ(作品集)を作られていました。しかし、fotologue だけだと作品しか見ることができません。プロフィールや展覧会の予定など、作家としてのオフィシャルな情報の発信源がほしいという相談が、まず我々の方にあったのです。(山辺さん)

この相談を受けたアライアンス・ポートの皆さんはどのように考えたのだろうか?

お客様の要望は『メインは写真を美しく見せること、それにプラスして告知などができるようにしたい、予算はあまりないのでできる範囲でやってほしい』と、とても明確でした。そこで我々は、限られた予算規模でどこにお金をかけるかということをまず考え、結論としてデザインにコストを集中することにしたのです。(大和さん)

この基本方針が決まった後はスムーズだったという。

サイトに要求されている機能は極めてシンプルなうえ先方は個人です。ウェブ専任の担当者がいるわけでもなく、毎日忙しい中での更新ということもあり、わざわざ別途ホスティングサーバーを契約したうえで小規模サイトに必要のない機能まで含まれている Movable Type のパッケージを導入するという選択肢は考えられませんでした。(大和さん)

事前に注意すべき仕様上の制限

とは言え、Movable Type に比べると MT タグの対応状況など、多少カスタマイズの柔軟性的に劣るところがある TypePad、お客様からの反発はなかったのだろうか?

確かに使えない MT タグがあるということもあり、Movable Type と比べると機能的にはある程度制限ができてしまいます。しかし、その制限のぶんデザインにリソースを集中するということを説明し、そこにメリットを感じてくれるお客様でしたので、特に問題は感じませんでした。(山辺さん)

完成例

ということでさっそくクライアントに対し TypePad による制作を提案。すぐに制作が開始され、完成したのがこのサイトだ。

【松本英明オフィシャルサイトのトップページ】

Hideakimatsumoto_typepad400

【各ブログ記事の体裁】

Abouthideakimatsumoto400

シンプルかつ洗練されたデザインのトップページだけを見るとにわかに信じられないが、パーマリンクのデザインを見ればわかるように、このサイトは正真正銘 TypePad (*2) を使って構築・運用されている。

ただし、グラフィカルなサムネイルを使って写真作品を閲覧する部分は、オンライン・フォト・ストレージサービス Flickr(*3)を利用している。

つまり『自身のサイト&ブログ』の運営を TypePad で、『写真の保存・共有』を Flickr でそれぞれおこなっている。

すべてのページに等しく手をかけているわけではありませんが、トップページをきちっと見せるだけでサイトのイメージをコントロールすることができます。たとえ TypePad のカスタマイズ機能に制約があったとしても、他のサービスと組み合わせることによってずいぶん見え方も変わってきます。このような工夫をすればそれだけでも全然違うと思います。(山辺さん)

この手法はもちろん製品紹介のティザーなど、より企業向けのコンテンツにも応用できるだろう。

トップページのデザインだけを変えるなどといった、ブログサービスの範囲を超えない構造ですむ案件であれば、Movable Type は多機能すぎてしまう場合も少なくないと感じます。(山辺さん)

 


脚注:
  • *2 -- 今回の案件では写真家1名でサイト更新作業をおこなっていくケースだったため、規模を鑑みて個人向け TypePad を使ってサイト構築がおこなわれたが、構築を監督された大和さんいわく「TypePad ビジネスを使っても全く同じデザインが実現できる」とのこと


※ TypePad ビジネス 製品情報 〜 導入直前7つの疑問

TypePad ビジネス 導入直前7つの疑問

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